Apr 04, 2010

レンタルサーバー比較は重要

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 UQが新世代規格「WiMAX 2」の公開フィールドテストを実施。ここで分かった効果ととともに、ワールドワイド事情も含めたWiMAX 2のエコシステムとトラフィックオフロードの目的を本田雅一氏が解説する。

【WiMAX 2のエコシステムとトラフィックオフロードの目的とは?】

・オフィスビル街でのフィールドテスト 「4x4 MIMOの効果」が興味深い

 本誌でも伝えられたように、WiMAXの次世代規格「WiMAX 2」の公開通信実験が、東京・大手町のKDDIホールで行われた。今回はバスで移動しながらとなる20MHz幅でのワイヤレス通信も行い、最大で実行転送速度が150Mbpsを超える、まさにワイヤレスブロードバンドと言うにふさわしい高速通信の世界が目の前で展開された。

 もちろん、単に高速通信が可能であるという技術面での実証公開実験という意味では、2010年10月に行われたCEATEC JAPAN 2010において、有線の中に40MHz幅のWiMAX 2信号を通した最大330Mbpsの試験を見せている。新しい規格なのだから高速で当たり前、という思う人もいるだろう。しかし、実環境でのワイヤレス通信と有線環境でのシミュレーションでは意味が違う。

 ポイントは3つある。実際のオフィス街において、静止状態で150Mbpsに達する通信速度が実現できていること。4×4 MIMOの効果は明らかで、特にビル群の中において通信速度確保の大きな助けになることが実証されたこと。そして、半径300メートル程のセルサイズ(都心におけるWiMAXのセルサイズと同じ)で基地局を打つことで、都心のビル街で100Mbps以上の速度がどこでも利用できること。

 それぞれについて少し掘り下げてみたい。

 まず速度だが、今回の実験用20MHz帯域と4×4 MIMOの組み合わせでは、WiMAX 2の理論最大速度は下り165Mbpsとなる。これに対して150Mbpsに達する速度を実現できたのだから、間違いなく成功と言えるだろう。

 KDDI大手町ビル23階に設置された基地局・屋上のアンテナに対して、直下の場所で静止時に通信した速度とはいえ、高層ビルが立ち並ぶ中で理論値に近い速度が出ていた。バスが移動し始めると電波に揺らぎが加わるため速度は落ちるが、それでも90M〜100Mbps程度は維持し続けた。

 さらに興味深いのは4x4 MIMOの効果だ。MIMOは複数のアンテナを用い、反射して入ってくる電波を個別に捉えることで通信の品質を向上させる技術。実際に実証試験を始める前までは、WiMAX 2の4×4(規格上は8×8の構成もある)という構成の実効性に疑問の声も出ていた。ところが、東京・大手町というオフィスビル街の中ではビルに反射した反射波が多数得られるため、移動しながらでも100Mbps程度の速度を維持できていた。

 と、いかにもMIMOがうまく働いたと書いているのは、その後、バスが皇居周囲の内堀通りに差しかかると、通信速度が半分程度に落ち込んでしまったからだ。内堀通りは片面が皇居となり、そこには電波を反射するものがない。このため、捕まえられる電波の経路が減り、通信速度が落ちたというわけだ。

 ところが、ふたたび交差点に差し掛かりビル群の中に入ろうと30度ほどバスが転回すると、たちまち通信速度が向上し、あっという間に100Mbpsにまで達した。こちらは新たな反射波を捕まえて急速に通信環境が改善したためだ。

 UQコミュニケーションズも、もちろんMIMOの効果に関して疑ってはいなかったものの、ここまではっきり、数値として明確に結果が出るとは、実際にフィールドテストをするまで分からなかったと話す。言いかえれば、2013年度早期を目指すWiMAX 2のサービス開始に先立ち、今をスタート地点として基地局敷設の計画を錬ることができるとも言える。

 さて、UQコミュニケーションズの野坂章雄社長によると、WiMAX 2の基地局は従来のWiMAXと同様の展開を行う予定だそうだ。すなわち、WiMAXの基地局に重ねてWiMAX 2の基地局を配置していくことになる。

 基地局の間隔が300メートルより小さくなると、互いの干渉が大きくなり、通信速度や安定性の低下につながるので、現在の基地局密度(基地局間の距離は最低でも300メートル)そのままとなる可能性が高い。WiMAXとWiMAX 2の周波数割り当ては隣接した領域となるため、電波の浸透性なども含めて互換性が高く、同じ基地局設置場所に重ねてWiMAX 2基地局を設置し、エリア展開が可能となる。

 この場合、野坂社長が言うようにWiMAX 2対応機器はWiMAX 2に、WiMAX対応機器はWiMAXに接続することでWiMAXのオフロード、すなわちトラフィック負荷の軽減も実現できる。おそらくWiMAX 2基地局の配置は、始まってしまえばかなり速いスピードで進むに違いない。半面、その部分での問題はないが、WiMAX 2基地局の密度が高まるまではWiMAX 2基地局の間にWiMAX基地局を挟むケースも出てくるため、WiMAX 2対応機器によるWiMAX 2接続とWiMAX接続をシームレスに切り替えるハンドオーバー処理に問題が出る可能性はあるだろう。

 WiMAX 2とWiMAXは完全な後方互換はあるが異なる2つのネットワークであり、ハンドオーバー時──IPv4の場合はIPアドレスなども切り替わる。当然、ネットワーク接続のセッションはいったん切れてしまうことになる。両ネットワークはいずれもIPv6に対応しているので、その場合はもちろんIPアドレスの問題はない。ただし、現実問題として2011年7月現在、IPv6の普及がどこまで進むかはまだ不透明だ。

 もっとも、同様の問題はWiMAXと3G、あるいはLTEと3Gの間にもある。おそらくアプリケーション側がアクセス手順を工夫することで、同じデバイスが異なるネットワーク間をまたがって通信を継続する(実際には再要求を別IPアドレスから行う? など)はできるようになるだろう。

●WiMAX 2のエコシステムはどうか──「トラフィックオフロード」もキーワード

 もう1つ、WiMAX 2に関して気になっている部分があった。それはエコシステム、すなわちWiMAX 2を巡る経済的な循環がWiMAXよりも弱いのではないか、という懸念だ。

 WiMAXの場合は、UQコミュニケーションズの事業パートナーでもあるインテルがWiMAXに対応する通信モジュールを提供し、主にPCに対して強力に普及を推進させた。WiMAX利用者はPCでもスマートフォンやタブレットデバイスなどでも利用できるポータブル無線LANルータ型のユーザーが中心になってきているが、“多くのモバイルノートPCに内蔵されている”ことが普及のドライバだったことは間違いない。

 ところがインテルは、WiMAXへの支援は今後も約束しているものの、WiMAX 2に関しては2011年7月現在、対応の方針こそ示すが具体的な態度は明確にしていない。同社は2008年に独Infineon Technologiesから携帯電話向けLSI事業を買い取り、LTE技術を自社のPCプラットフォームへと取り込んでいくことを発表している。

 WiMAXありきでPCのWAN対応を進めてきたかつてのインテルと今のインテルは、WiMAXに対する取り組み方が違う。もし、インテルが以前よりもWiMAXに対して積極的でないならば、WiMAX 2をドライブする大きなエコシステムの構築がうまく行かないのでは? という懸念を持っている読者もいるだろう。

 また、WiMAXと3Gを組み合わせたサービスが欧米で行われていることもあり、現在はWiMAX搭載のスマートフォンも市場に投入されている。これがWiMAX 2の時代となったとき、欧米でWiMAX 2への投資がどこまで勧められるかは不透明だ。もし海外でのWiMAX 2展開が遅いようだと、WiMAX 2対応スマートフォンを含むスマートデバイスが出てこない可能性はある。

 ワールドワイドでの4Gに関してはLTEの勝ちで、WiMAXは脇役になったという意見が出てくるのはこうした背景事情からだ。これでは”WiMAX”が日本でのみ突出して普及・エリア整備が進み、海外とは異なる、いわゆるガラパゴス的な環境を作り出してしまう原因になるとも考えられている。

 しかし、実はそうではないのでは? というのがわたしの意見……というよりも感触だ。インテルがLTEのためにInfineonの部門を買収したのは、マルチ・コミュニケーション戦略を採るためだ。特定の通信規格だけに依存するのではなく、特徴が異なる複数の通信技術を取り込むことで、あらゆる方法でインターネットにブロードバンドで接続しようというわけだ。

 WiMAX 2へのコミット状況が明らかかと言えば、現時点では明らかではない。しかし、LTEがあるからWiMAX 2への対応は積極的にはならない、という選択はしていない。なにしろWiMAX 2の商用サービス開始は2年先のこと。どのようなプランで製品に組み込むか、またマーケティングプランとしてWiMAX 2にどのように取り組むかが、現時点で決まっていないのは当然のことだろう。

 また、この半年〜1年ほどの状況を見ると状況が大きく変化してきている。

 もともとは3Gであふれることが確実なデータ通信トラフィックを、新たな通信規格にオフロードする目的からLTEを用い、高速化を含めさまざまな改善を順次進めていく。そうした予定だったが、そんな悠長なことは言っていられなくなってしまった。

 ご存知の通り、携帯電話事業者自身も予想していなかったほど早く需要が立ち上がっているスマートフォンは、世界中の3G回線を圧迫し続けており、今もトラフィックの総量は増え続けている。すでに地域や時間帯によっては、日常的に輻輳(ふくそう)が発生し、電波表示レベルは高いのに通話発信やデータ通信ができないといったトラブルもひんぱんに耳にするようになっている。

 このような状況では、あらゆる手段を用いてデータトラフィックを分散させなければ、収拾のつかない状況に陥ってしまう。ワイヤレスでの通信容量が絶対的に足りない、あるいは足りなくなる。

 ちなみに、通信容量は周波数の帯域、電波の利用効率、基地局密度(セルのサイズ)の3つで決まる。セルサイズはすでに、人口密集エリアにおいてはかなり詰まった配置で最初から計画されている。その上で電波の利用効率向上(LTEの普及)を見込んでも通信容量が足りなくなると、すべての携帯電話事業者が考えている。

 今後、無線LANスポットの大幅増設による固定回線へのオフロードなど、さまざまな工夫を続けていくことになるが、それでも限界はある。となれば、残る手段として周波数帯域を拡げるしかない。といっても、簡単に新たな割り当てスペースが降って湧くわけでもない。したがって、同程度に利用効率の高い複数のワイヤレス通信技術を組み合わせて利用することで、1つのネットワークにトラフィックが集中することを防ぐほかない。

 UQの野坂社長もこのような風向きの変化を感じているようで「最近になって、状況は大きく変化してきている」と話す。すでに基地局のユニバーサル対応は進んでいるが、端末に関しても携帯電話やスマートフォン向けの回線が混んでいるなら、ポータブルルータやPC向けは、WiMAX 2などのデータ通信に特化したネットワークに流す方がいい。

 「同じTDDだから、TD-LTEと競合するためWiMAX 2はダメ──といった話は聞いたことがある。しかし、これは話として面白おかしく書いているだけだと思う。TDDかFDDか、LTEかWiMAXかといった議論は問題ではない。無線LANも含め、どんな手段を使ってでもトラフィックを分散していかなければ、現実には対処できない」(UQコミュニケーションズの野坂社長)

 この点で、WiMAXの普及が進んでいる日本(UQコミュニケーションズ)が、技術やノウハウの面でも一番進んでいると野坂社長は自負する。アメリカ、アジアからは、ここに来てWiMAXのネットワーク構築ノウハウを教えてくれ、という話が多数あるという。そこでアジア地区のWiMAX、WiMAX 2普及を促進させるため、各国から関係者を集めたカンファレンスも行っているという。

 予想以上のスマートフォン/スマートデバイスの伸びが、UQコミュニケーションズにとって大きなプラス要因となり、WiMAX 2普及へのドライバとなる可能性がある。


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